全国農協青年組織協議会 理事
黒田 栄継
テーマ目的と手段
2013.06.25
TPPは、誰のための、誰を幸せにするためのものだろうか。二言目には経済成長を強調するが、それ自体は私たちの生きる目的ではない。
私たちの生きる目的、それは、「次代に命をつなぎ、次代に社会をつなぐために今やるべき責任をしっかりと果たすこと」ではないだろうか。
つまり経済成長は、私たちが幸せに生きるための手段の一つであり、前提となる目的を見失ったままではいつまで経ってもTPPの正当性は見えてこないのである。
いま必要なことは、手法論(TPP)を語る前提となる価値観をしっかりと見つめなおし共有する事なのだと思う。生きると言う事、生きるために食べると言う事、支えあい助け合いながら生きると言う文化をしっかりと確立し、それを認識した上で、それに有効な手段を構築する事なのである。
もちろん、だからと言って全ての経済行為を否定するものではない。経済成長を目指すことそれ自体が悪なのでは決してない。繰り返すが、大切なのは、目的と手段を間違ってはいけないということである。
私たちは農村という、決して便利とは言えない環境で暮らしていく中で、「共同」という知恵を生み出し、互いに支え合いながら生きてきた。この国が今ほどの経済力を有していない頃には、もしかすると日本中がこの感覚に満ちていたのかもしれない。日本国民全てが共同していたのである。
都市と農山漁村が切り離されてしまった今、この価値観を明確に有している私たち生産者が果たすべき役割は、とても大きなものになってきたのだと思う。いかにしてこの価値観を国民全体で共有するのか、私たちからの積極的なアプローチはもはや、役割そのものと言っていい。農協青年部を中心に取り組んできた生活者とのつながりの促進を、今後更に加速させる事が、先に述べた目的の確立にとって、一番の近道だと考える。