“京都府農協青壮年組織協議会”

JA京都府青壮年部 委員長

高橋 輝

テーマ持続可能な地域農業の実現

2012.11.20

JA京都府青壮年委員長の高橋輝です。

今、持続可能な地域農業の実現に向けて、地域農業の将来像をどのように描くか、ということが大変重要です。

農業・農村現場で一番不安なのは、高齢化がすごい勢いで進む中、果たして農業を将来いつまで続けていけるのか、ということです。地域農業の将来像を描く取り組みとして、京都府内で「京力農場プラン」づくりがすすめられていますが、これにより地域農業が元気になるよう、再構築していかなければいけません。

また、地域農業振興はJAなしでは成り立たちません。JAは地域農業振興に向けて何をなすべきか、明確な戦略を組合員に示し、とりわけ、販売力の強化、京野菜などの産地づくり、担い手の育成・支援に全力で取り組んで欲しいと思っています。

担い手への対応についてですが、私たち青壮年部盟友をはじめ、担い手がJA事業に期待するところは、非常に大きい。しかし、JAは様々な事業を行っている関係で、生産資材、販売、資金など、それぞれが個別の提案や対応になり、二言目には「JAの資材は高い」とか「農産物の販売は安い」とかいう、一面的な議論になってしまい、総合力を活かせていないと思うことが多々あります。

担い手とJAはパートナーであり、青壮年部盟友もJAからのサポートを強く求めています。TACなどが調整役になって、目標利益や生産・販売計画の設定、資金対応、あるいは税務対応など、経営プロセスの様々な場でJAの総合力を発揮して、「さすがJA」と言えるようにして欲しいと思います。

新規就農者対策については、新たな担い手として、新規就農者の育成がよく言われております。実は私も、18年前に新たに田んぼを借りて農業を始めた新規就農者です。JAや青壮年部の仲間に支えられながら何とか軌道に乗せましたが、つくづく感じたのは、ゼロからのスタートは本当に大変であり、リスクも高いということです。新しく始める人のサポートも重要ですが、JAはあくまで農家の組織ですから、第一義には、農家の後継者がしっかり農業をやる、あるいは、今は都市部に出ていても、定年後は地元に帰って農業をやる、というような仕掛けが必要ではないかと思います。

販売力強化と産地づくりについて、販売事業はJAの基本中の基本であり、JAには頑張ってもらっていますが、必ずしも担い手が満足するまでには至っていないのも事実です。担い手自らが全量販売できれば一番いいのかもしれませんが、様々なリスクもあります。特に市場から離れている地域では、現実問題としてかなり困難です。

幸い京都には、「京野菜」、「宇治茶」、「丹波黒大豆」といった誇るべき、全国にも認知されたブランドがあります。そのブランド力を活かしつつ、市場の変化や消費者のニーズを的確につかんで、しっかりとした販売戦略のもと、計画的な生産と出荷を進めていくことが必要ではないでしょうか。

有利な販売を進めるためには、産地もそれなりの規模が必要ですが、ここぞJAの出番です。例えば、集出荷場を整備して、個別生産者をまとめるようなことはJAにしかできません。きめ細かな対応をするためには、それなりの人員確保や設備投資も必要ですが、ここが踏ん張りどころ。しっかりお願いしたいと思います。

農産物直売所について、私が所属するJA京都にのくにには、青壮年部から強い要望をしたこともあり、JA直売所が4か所にできました。組合員や利用者の評判は非常によいです。他のJAでも同様と聞いています。

直売所は、高齢農家や小規模農家の重要な販売拠点としての意味合いはもちろんのこと、組合員や地域住民が集う場として、また、学校給食や地元施設への食材提供など地産地消、あるいは食農教育の取り組みの拠点にもなる、様々な可能性を持ったもので、戦略的な位置づけと取り組みが必要です。

最後に、農政運動についてですが、私は地元で市会議員をしております。農業問題について、いろんな議員さん達と話をする機会が多いですが、つくづく思うのは、農業現場のことを知っている議員が本当に減った、ということです。農業・農村政策はもちろんのこと、農業現場最大の課題である有害鳥獣の問題をはじめ、都市農業の生命線である都市農地の税金問題など、その実態をしっかりとくみ上げ、言うべきところで言ってもらえるような議員が必要です。

私たち青壮年部は12月6日に「JA京都府青壮年大会」を開催し、今後3か年の活動基本方針を決定します。

農家ひとりひとりの力は弱いものですが、JAを中心に、盟友の力を結束し、この厳しい局面を、共に力を合わせ、乗り越えていかなければいけないと思います。心をひとつに、力を合わせましょう。