“JA東京青壮年組織協議会”

JA東京青壮年組織協議会 委員長

嶋田 伊佐央

テーマ引き継ぐ事、守る事

2013.08.27

「東京の農業」というと「ビルに囲まれた小さな畑で細々と行われている」というイメージをされることが多いようですが、実際の東京農業は、大島や三宅島のような離島から、中山間地まで、幅広い環境で行われています。

農業を営むには厳しい環境ではありますが、先祖から引き継いできたバトンを後世につなげてゆくことを大切に考えている人たちばかりです。

「過去からの引き継いできたバトン」とは一つではなく、個々の農家で引き継いできた「文化」も「バトン」に該当するものです。

例えばある地域では、A家ではトウモロコシ、B家ではエダマメといったように、各農家で【作付してはいけない作物】があるそうです。いつの時代からなのか、また作付してはいけない理由まではわからないそうですが、おそらく不作の年に食べ物が不足して村落が全滅しないようにという先人たちの配慮があったのでしょう。

また「講」も未だに各地域で残っています。「講」と聞いて思い浮かべられるのは「伊勢講(お伊勢参り)」だと思いますが、それ以外の様々な神社に対しての「講」があります。

例えば我が家で参加しているのは「榛名講(群馬県榛名神社)」「戸隠講(長野県戸隠神社)」「御嶽講(東京都青梅市御嶽神社)」ですが、これだけにとどまらず様々な講が現存運営されています。

運営方法も様々で、講の参加者全員で日にちを決めて参拝にゆく場合もあれば、講の参加者の中から代表者を数名くじ引きで選び、その代表者たちが代理参拝を行い、全員分の御札を持ち帰ってくるなど、それぞれに歴史を感じさせる運営がなされています。

そして大事なのは、やはり「農地」です。金銭に換えることをよしとせず、バブル期も乗り越えてきたのが、東京の都市農家です。相続時に農地を残すために、新築したばかりの自宅を取り壊して底地を売却し、農地を最大限残した農家もありました。

リレーの走者のように、様々なバトンを守り、後世に引き継いでいく、それが私達の大切な仕事と考えています。