“島根県農協青年組織協議会”

島根県農協青年組織協議会 会長

草野 拓志

テーマ明けない夜はない

2020.12.08

島根県青年組織協議会会長の草野拓志です。コロナウィルスが猛威を振るう中、今この記事を書いている中であっても新規感染者数が史上最多を更新する状況であり、農業者やコロナで被害にあわれている方や仲間たちの生活を案ずるところでございます。

日経平均価格は29年ぶり26000円台に突入しバブル景気に近づく勢いで株価も上昇を続けております。

日経平均は日本を代表する225社の企業株価の平均値であり経済の強さや景気を示す指標であります。つまりこれだけ上がっているならば、企業や個人は潤い国民生活が豊かで明るいものとなっていなければなりません、にもかかわらず国民生活は本当に苦しいものとなっています。

FRBの量的金融緩和政策による大量の投機マネーが市場に流れただけで儲かったのは投資家や一部の人間だけで飲食業、観光業、食品産業、製造業など多くの方が明るい未来を見通せない状況です。

コロナ関連での不況や不安から自殺も増えています。本当にあってはならないことですし心が痛みます。

多くの国民が苦しむ中、一部の者だけが富を増やす、コロナにより貧富の差はさらに広がっています。

  

そんな中で私自身何ができるのか?と問われると、何ができるのでしょうか?

頑張って会社を切り盛りし維持していくことで家族を守り、社員を守り、お客様に良いものを提供する。農政活動を通じて困っている農業者の声を「お金を配分している方」に届ける。

くらいでしょうか。私が頑張ったところで世の中、何も変わりません。

一人の頑張りなど無に等しいですが小さな力が集結し何万、何十万と集まった力はとてつもなく巨大です。

小さい個の農業者が集結しあい農業協同組合を作りました。食品を扱う農業や漁業などの一次産業は相互扶助の精神を持った協同組合である必要があります。利益を純粋に追求することは食を独占支配することになります。供給量を減らして価格上昇をさせたりすることは生活や生命に直結するからです。安定した食という土台の上に経済が成り立っています。

少し昔を思い返しますと10年前農青連の地区組織の入会した私は全国大会でスピーチをする全国農協青年組織協議会(以下:全青協)の会長を見て「盟友6万人を動かせる影響力がある人間」と本気で思っていました。

半分正解で半分不正解です。

全青協であっても相互扶助の精神に基づいて動いているので会の意思決定は農業者6万人の盟友の総意であり全青協会長はそのスピーカーです。

一つ一つの意思は間違いがありますし優れたトップの決定でも間違いが起こることがありますが、相互扶助の精神を持った集団の過半数の総意で出た答えは限りなく正解に近いものです。

日本は東から西まで気候や農法の違い農業者が抱える問題は本当に多岐にわたります。今年度ポリシーブック委員を経験し作成に携わらせていただく機会をいただけましたがポリシーブックは6万人盟友が抱える問題や課題の総意であると実感しました。そしてこのポリシーブックを武器に農業者として地域が抱える問題に向き合っていく必要があります。

  コロナ渦の中、消費の低迷や移動の封鎖で農業が抱える問題が様々浮き彫りになりました。農産物価格の乱高下、コメ余剰、雇用問題、セーフティネットの構築、その時代時代に併せて組織として問題解決に向けて動いていくことが大切なのだと思います。

 相場の格言に「夜明けが一番暗い」という言葉があります。この不況が終わるのは?いつが夜明けか?なんて誰にも分りませんし夜は明ける前、終わりかけが一番暗く絶望的な状態になるものですが、明けない夜はありません。

厳しい時代だからこそ希望を持ちつつ相互扶助の精神で盟友同士、手を取り合い助け合って進んでいかなければと思います。

 明けない夜はない、まだ見ぬ朝に向かい希望を持ち歩んでいきたいものです